フェーンチャン ぼくの恋人

ジアップはタイのバンコクで建築デザイナーとして働いている。ある週末、田舎に暮らす友人の結婚式に出席することになった。向かう途中、実家の母親から電話で、幼なじみのノイナーがその同じ日に結婚するという。その招待状が届いているということだ。ジアップとノイナーは、彼女が引っ越しをして以来、十数年会っていなかった。一瞬、彼女を思い出せなかったが、母親の電話で、当時の想い出が鮮やかに甦ってきたのだ。ジアップとノイナーの家は、どちらも床屋を営み、母親同士も仲良しであったため、小さい頃からいつも一緒に遊んでいた。ノイナーは近所の子供たちのリーダー的存在で、ゴム飛びが得意。あだ名は「ゴム飛びの女王」。その頃、ジアップには自転車で大通りを渡るという憧れがあった。通りは交通量が多いので、危険だと禁止されていたのだ。この子供の頃は、となり町でも見知らぬ場所に行くのは勇気がいる、大冒険だった。そしてもう一つの憧れは、近所に女の子ばかりだったので、男の子たちと遊ぶことだった。

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